ロープのスキルで世界を変えたい

「ロープを愛し、ロープに愛された男」に私はなりたい

私はなぜこんなにロープに魅せられハマってしまったのか、自分でもよくわからない。

ただ、幼い頃からロープ状のもので遊ぶのは好きだった。

高校時代にカラオケが流行っていた頃は、ひたすら友人の部屋を回り、デンモクのタッチペンにつながっているロープを解きにいっていた。

そして、消防士になり半年間の消防学校訓練生活の中で、結索訓練(ロープを結ぶ訓練)の時間が好きで、土日にロープを家に持って帰りひたすら遊んでいた。

消防学校の訓練では「腕力登はん」という腕の力だけでロープを登る訓練がある。

これが意外とキツい。

よく消防学校ドキュメンタリーなどで訓練生がやっているあれだ。

私は一度も登れなかったことはないが「キツいなあ」とは思っていた。

時は流れ、消防5年目のときに特別救助隊への配属が決まった。

そこで出会ってしまったのが、「ヨーロッパ式のロープレスキュー」だ。

人ひとりを簡単に引き上げることができるその技術に驚いた。

なによりも感動したのは、消防学校のときに体験した「腕力登はん」とはちがい、少ない力でロープの登り降りができるということだ。

↑ロープにハマり始めた頃の写真。事務仕事を瞬殺で終わらせて、毎日屋内訓練場に通っていた。

それからというもの疑問が浮かんでは、詳しい先輩に聞いたり、訓練で試してみたり、本当に楽しい日々だった。

そして、非番日も毎日文献を読み漁る日々だった。日本語の文献を読み尽くして、海外の文献を翻訳しながら読むようなこともした(笑)

「この技術はレスキューの他に何に使われているのだろうか?」

この疑問はPetzlのカタログを見ているときに生じたものだ。

海外ではロープ業界の知名度もあり、色々なことに使われていた。

だが、日本ではあまり認知度がなく積極的に使われていない…ということに気づいた。

自分の知識やスキルをレスキューに使うことはもちろん価値のあることだ。

だけど、「自分の知識やスキルをロープ産業の発展のために使うことで、このロープ業界の発展を少しでも前に進めることができるのではないか」と思うようになった。

消防士を退職し、建設コンサルタントのサラリーマンになったときも、ひたすらロープのことを考えていた。

私が勤めていた会社は、橋梁点検をロープを使い行っていた宮崎県内唯一の会社だった。

橋梁点検や法面調査のノウハウをこの会社で蓄えた。

少しは前に進めた自負もある。

このサラリーマンの間に多くのロープワーカーたちに出会った。

そこで出会ったロープに狂った男たちを見ていると、もっともっとロープに関わりたいと思った。

だからこそ、ロープ事業で独立する選択をした。

この技術はもっと多くの人たちに必要とされる時代が来る。

その時代が来ることを願い、いや、自分の力で前に進めることを心に誓い、これからも命懸けでロープに向き合っていこうと思う。